遺言書にはどのような種類がある?

遺言書

遺言書にはどんな種類があるの?

リミナ

エル

このページでは、「3種類の遺言書」について解説するよ!

遺言書にはどのような種類がある?

相続分野において「遺言書」は非常に重要なものです。故人が家族や親しい人に残す最後のメッセージであると同時に、遺産の分配について書かれた事柄については法律的に一定の拘束力を持つことになるので、後で遺言が無効になってしまわないように遺言を残す人は気を使わなければなりません。

遺言書には7つの種類がありますが、通常作成する可能性がある遺言書は、以下の3種類です。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

ちなみに、遺言には、上記の3つ以外に特別方式の遺言には、死亡危急時遺言、船舶遭難時遺言、伝染病隔離時遺言、在船時遺言の4種類があり、合計で7種類あります。ただし、特別方式の遺言は通常の場合は利用することがありませんので、ここでは紹介しません。(参考ページ:7種類の遺言書とは?|あとむすび

遺言書を作成するときには、作成にかかる手間の多さや安全性などを考慮して、どの種類の遺言書を作成するのかを事前に決める必要があります。このページでは遺言書の種類について基本事項を紹介しますので、どの遺言書を選択するか決める際の参考にしてください。

自分で手書きする「自筆証書遺言」

自筆証書遺言はその名の通り、遺言の内容を手書きで記述していく方式です。自分で作成し自分で保管することで遺言を残せるので、誰の手も借りずに自由に遺言を準備することができます。

自由度は高いですが、自筆証書遺言を作成するにあたっては、氏名や作成年月日を正確に記載する、押印が必要など形式的な手順を守って作成したものでなければ無効になってしまうというリスクもあります。

最近では、法改正によってルールが一部緩和されており、2019年1月からは遺言書に添付する財産目録については手書きでなくとも良いことになりました。パソコンで作成した財産目録や不動産登記簿なども、それらの書類に署名押印をすることで遺言内容の一部として認められます。ただし、遺言書本体は従来通り手書きである必要があります。

民法968条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言は作成と準備について自分一人だけで完結できるので、手続きが簡便で自由度が高いのがメリットです。

作成にあたっては封筒や用紙など実費以外に費用はかかりませんし、遺言書はいつでも作り直すことができるので、一度遺言書を作った後に気が変わったときは古い遺言書を破棄して新しいものをいつでも自由に作り直せます。

他人を関与させる必要がないので、遺言内容の秘密性の確保もしやすくなります。

自筆証書遺言のデメリット

形式的なルールを理解してこれに則ったものを作らなければならず、ルールを逸脱すると相続発生後に無効となってしまうことがあります。たとえば、遺言書を作成した年月日を「日」まで正確に記載していなかったり、押印を忘れていたりすると無効となってしまいます。

また、保管を自分で行うことから、紛失や他人による偽造・変造のリスクもあります。

さらに、自筆証書遺言は準備段階では自由度が高い代わりに、実際に相続が起きた後には相続人が家庭裁判所で「検認」という手続きを取らなければなりません。封をされている遺言書を検認前に開封してしまうと、開封した人が5万円以下の過料に処せられることもあります。

エル

無効な遺言書にならないように専門家に依頼しよう!

公証人が関与する「公正証書遺言」

作成と準備が自分一人で完結する自筆証書遺言に対して、作成と保管に「公証人」が関与するのが公正証書遺言です。公証人は元裁判官などで法律についての専門家で、証明力の高い書類の作成などを手伝ってくれる準公務員的な存在です。

基本的には遺言を残す本人が公証役場に出向いて遺言内容を口述し、公証人がこれを聞き取って筆記することで作成していきます。作成した遺言書は原本が公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。

民法969条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言は法律に詳しい公証人が作成に関与するので、無効な遺言書を作ってしまう心配がありません。また、相続発生後に家庭裁判所による検認の手続きも不要ですので、残された相続人の負担も無くなります。

原本が公証役場に保管されますから、本人が紛失してしまうこともありませんし、他人による偽造や変造の心配も不要になります。自由度は自筆証書遺言より劣りますが、安全性を重視したいケースには大きなメリットがあります。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言は自筆証書遺言と比べると自由度が低く手間と費用がかかるということがデメリットです。まず、基本的に本人が公証役場に出向かなければならず、その際には本人以外に2人以上の証人を準備しなければなりません。

証人は本人と関係が近しい一定の親族などはなることができません。お願いすれば公証役場の方で行政書士や司法書士、あるいは弁護士など国家資格者を用意してくれますが、一定の報酬を支払わなければなりません。また公証人に対しても一定の遺言書作成料を支払う必要があります。

内容を秘密にできる「秘密証書遺言」

秘密性を重視しながら遺言書の存在を明らかにできるのが秘密証書遺言です。公正証書遺言も、遺言の内容を公証人が確認しますが、守秘義務があるため内容が漏れる心配はしなくてもよく、実際には秘密証書遺言が利用されることはほとんどありません。

自分で作成した遺言書を封印して公証役場に持ち込み、内容を秘密にしたうえで遺言書が存在するということだけを公証人と証人二人に確認してもらいます。公証役場には作成の記録が残るだけで原本が保管されることはなく、原本は本人が持ち帰って自分で保管します。

民法970条
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言の作成手続きの中では、本人が作成・封印した遺言書に公証人や証人に署名してもらうなどの関与があるので、公証人や証人にも内容を知られることがなく秘密性を保持したまま遺言書の存在だけを明らかにすることが可能です。

また、秘密証書遺言はパソコンやワープロで印字して作成することや、他人の代筆により作成することも可能です。ただし、当然ですが、代筆の場合はその代筆者には内容が知られてしまいます。

秘密証書遺言のデメリット

公証人と証人が関与することから作成には一定の手間と費用がかかり、また保管は自分で行うので紛失のリスクもありますそして、遺言書本体は自分で作成するので、内容に不備があると後で無効になってしまう恐れもあります。

秘密証書遺言はあまり使われていないんだね!

リミナ