リミナ
エル
リミナ
エル
告訴人・告発人への処分結果通知は義務?
検察官は、告訴・告発のあった事件については、告訴・告発が訴訟条件となる事件かどうかに関係なく、「起訴・不起訴の処分をした場合」、「公訴を取り消した場合」、「他の検察庁の検察官に移送した場合」の3つの場合には、速やかに、その旨を告訴・告発をした人に通知しなければなりません。
刑事訴訟法260条
検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。
告訴状・告発状が受理されない場合の対応などは、こちらの関連記事で説明しています。
告訴や告発の受理拒否・預かりへの対応は?添付書類は必要?処分結果の通知は結果のみ
処分結果を通知する場合の内容は、起訴・不起訴などの結論のみで十分で、理由を通知する必要はないとされています。
これは、処分結果の通知を行う理由が、告訴・告発を行った人に対してその事件の処分結果を通知することで、不起訴理由の告知請求などを行う機会を作ることで、告訴人・告発人の権利や利益を保護するためのものではないためです。
告訴・告発した人へ処分結果を通知する場合、その方法は特に定められていませんので、法律上は口頭での通知でも問題ないことになります。実際には、処分結果の通知は書面で行われています。
不起訴理由の告知請求については、後ほど詳しく解説します。
通知を怠った場合でもは国家賠償請求の対象外
告訴人・告発人への処分結果の通知は、上でも説明しましたが、告訴・告発した人の権利や利益を保護することが目的ではないので、検察官が通知を怠ったり、通知時期が遅延したりした場合であっても、国家賠償請求の対象とはなりません。
(刑事訴訟法260条)が告訴等のあった事件について不起訴処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人等に通知しなければならないものとしているのは、付審判請求や検察審査会に対する審査請求の前提となる同法第261条所定の不起訴理由告知請求の機会を告訴人等に与え、究極的には検察官の恣意的な不起訴処分を抑制することを主たる目的とするものであって、告訴人等の私的権利ないし利益の保護を目的とするものでないことは明らかであり、また検察官の告訴人等に対する通知義務も専ら公法上のものであるから、仮にこれに違背することがあっても、ことさらに告訴人等の人格を無視し名誉を傷つける意図をもって通知しなかった等特段の事情のない限り、それが告訴人等の私的権利ないし利益に対する違法な侵害行為として不法行為を構成する余地はないものというべきである。
(昭和54年1月30日 大阪高裁)
処分結果が告知される場合
- 起訴・不起訴の処分をした場合
- 公訴を取り消した場合
- 他の検察庁の検察官に移送した場合
リミナ
エル
不起訴理由を知るには?
不起訴処分告知書の申請書を提出する
告訴・告発がされた事件について不起訴処分をした場合には、告訴・告発をした人に結果の通知をしなければなりませんでした。結果のみではなく理由も知りたいときには、「不起訴処分告知書の申請書」を提出することになります。
告訴・告発をした人などから、「不起訴処分告知書の申請書」の提出があった場合には、検察官は速やかに、不起訴理由を告げなければならないと定められています。
刑事訴訟法261条
検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。
告知内容
請求を行った告訴人・告発人に対して行う告知の内容は、「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」「時効完成」などといった、不起訴の端的な理由(裁定主文)で十分であるとされています。
不起訴記録を閲覧させることは、不起訴理由の告知の範囲を超えており、刑事訴訟法47条に違反する可能性もあり、通常は行うことができません。
第47条
訴訟に関する書類は、公益上の必要その他の事由があって、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。
但し、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合は、この限りでない。
また、この不起訴理由の告知も、処分結果の通知と同じように口頭でも問題ありませんが、実際には、不起訴処分告知書という形で、書面による告知が行われています。
不起訴理由を知る方法
- 不起訴処分告知書の申請書を提出する
- 告知の内容は、不起訴の簡単な理由のみ
リミナ
エル