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告訴状とは?
告訴状とは、犯罪の事実を警察や検察といった捜査機関に伝えて、捜査と処罰を求める意思表示を行うための書類のことをいいます。
刑事訴訟法 230条
犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。
捜査機関は、告訴を受理する義務がありますが、実際には受理してもらうことは難しく、弁護士などへの依頼が必要になる場合が多くなります。
告訴・告発とは ~告訴と告発の違いは?誰ができる?被害届とは?
被害届とは、犯罪の被害にあったことを捜査機関に伝えるための書類のことをいいます。被害届に記載する内容は、以下のようになっており、犯罪と被害発生の事実のみです。
- 被害者の情報
- 被害に遭った場所や日時
- 犯罪の内容
- 被害金額
- 犯人の情報
- 証拠となるもの
犯罪捜査規範61条
警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
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告訴状と被害届の違いとは
警察は多くの事件を抱えていますので、通報や現行犯でなければ全ての犯罪に対応することはできません。しかし、犯罪の被害にあってしまった場合には、警察の協力が重要になります。
犯罪被害にあってしまったときに、被害届や告訴状を提出することは、警察に事件を捜査してもらったり、逮捕してもらったりするための手段の1つとなります。
それでは、告訴状と被害届は何が違うのでしょうか?
処罰を求める意志の有無
被害届はあくまでも犯罪被害を受けた事実のみを伝えますが、告訴状では犯人の処罰を求める意思表示が必要です。
たとえば、告訴状に犯罪事実などがくわしく記載されて提出されたとしても、犯人の処罰を求める意思表示がされていなければ、告訴があったことにはなりません。
親告罪の訴訟条件
犯罪行為によって成立する犯罪が親告罪の場合、告訴がされていなければ、検察官の独断で裁判にもちこむことはできません。
そのため、親告罪の犯人を処罰するためには告訴が必要になります。つまり、告訴状か被害届のどちらを提出するかによって、犯人が処罰されるかどうかを左右することになります。
捜査義務の有無
告訴状が警察で受理された場合には、警察は特に速やかに捜査を行わなければなりません。さらに、書類や証拠を検察官に送らなければなりません。
そこで検察官は、起訴・不起訴の決定などを行った上で、告訴をした人に通知をしなければならなくなります。
そのため、告訴状が提出されて受理をした場合には捜査義務があり、捜査を放置しておくことはできません。
それに対して、被害届の場合には捜査を義務付ける規定は、刑事訴訟法や犯罪捜査規範に存在しないため、捜査を行う意識が低い場合も多く、あまり捜査してもらえない場合もあります。
刑事訴訟法 242条
司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。刑事訴訟法 260条
検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。犯罪捜査規範 67条
告訴または告発があつた事件については、特にすみやかに捜査を行うように努めるとともに、次に掲げる事項に注意しなければならない。
一 ぶ告、中傷を目的とする虚偽または著しい誇張によるものでないかどうか。
二 当該事件の犯罪事実以外の犯罪がないかどうか。
告訴状・告発状と被害届の違い
- 告訴状には処罰を求める意思表示が必要
- 親告罪を裁判まで進めるためには告訴が必要
- 被害届には捜査義務がない
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