告訴・告発とは ~告訴と告発の違いは?誰ができる?

告訴・告発
告訴と告発って聞いたことあるけど何か違うのかな?

クリミナ

エル

似てるけど少し違うんだ。今回は「告訴と告発の違い」について説明するよ!

告訴・告発の目的

犯罪行為に巻き込まれて、「警察に捜査をしてもらいたい」「犯人を逮捕して罰してほしい」などと考えた場合に、告訴・告発をして犯人の処罰を求めることが有効な選択肢になります。

犯罪の捜査は、警察官や検察官などの捜査機関のみが行うことになっていますので、被害者であっても一般人が犯罪の捜査をすることはできません。また、捜査した後に犯人の処罰を求めるかどうかも、基本的には検察官が決定することになります。

しかし、110番通報や現行犯で逮捕した場合でなければ、警察官や検察官だけで全ての事件を把握して、捜査を行うことは不可能です。さらに、一般人から犯人処罰を求めることができる制度があることで、犯罪の予防にもなります。また、被害者保護のためにも、捜査や起訴について被害者の意思を反映させることも重要です。

告発・告発の制度は、このような目的を達成するためにあります。

告訴・告発は犯人の処罰を求めることなんだね!

クリミナ

エル

次は、告訴・告発がそれぞれどのようなものか説明するよ
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告訴とは

告訴とは、犯罪の被害者など(告訴権者)が、警察官や検察官といった捜査機関に対して犯罪が行われた事実を伝えて、同時にその犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。

告訴権者とは

告訴は裁判でも重要になりますですので、告訴は犯罪の被害者など、法律で定められた人しか告訴をすることはできません。

この法律で定められた告訴をできる人のことを告訴権者と呼び、告訴権者以外の人が行った告訴は、法律上は無効になります。ただし、告訴ではなく告発として有効になる場合や、捜査のきっかけとなる場合もあります。

告訴権者になれる者の範囲は刑事訴訟法230〜234条と、刑法232条2項で定められています。

エル

告訴権者を1つずつ紹介するね!

犯罪により害を被った者

犯罪により害を被った者とは、つまり被害者のことで、最も一般的な告訴権者です。

たとえば、傷害罪では傷害を受けた人、名誉毀損罪であれば攻撃の対象とされた人などが告訴権者となります。

しかし、名誉毀損罪の攻撃の対象となった人の妻など、間接的な被害者は告訴権者とはなりません。理由としては、犯罪による間接的な被害なども含んでしまうと、告訴権者の範囲がはっきりしなくなってしまうためです。

一つの犯罪で複数の被害者がいる場合は、それぞれが独立した告訴権者となることができます。

刑事訴訟法230条
犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。

被害者の法定代理人

被害者が未成年や被後見人である場合には、親権者や後見人が、被害者の意思に関係なく告訴を行うことができます。

判断能力などが低い被害者本人の保護のために、親権者や後見人の告訴が認められています。

刑事訴訟法231条
被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹

被害者が死亡してしまった場合には、配偶者、直系の親族や兄弟姉妹が告訴をすることができます。

ただし、生前の被害者が「告訴をしない」という意思を明らかにしていた場合、生前の被害者が告訴する権利を失っていた場合には、告訴することはできません。

刑事訴訟法231条2項
被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

被害者の親族

被害者の法定代理人が犯人であったり、犯人の親族等である場合には、被害者の意思に関係なく、被害者の親族が告訴をすることができます。

刑事訴訟法232条
被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。

死者の親族又は子孫

死者の名誉を毀損した罪や、名誉を毀損された者が告訴をする前に死亡してしまった場合には、死者の親族と子孫が告訴をすることができます。

しかし、生前の被害者の意思に反して告訴をすることはできません。

刑事訴訟法233条
死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることができる。
2 名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

検察官に指定された者

親告罪で告訴をすることができる者がおらず、利害関係者の申し立てがあった場合には、検察官に指名された者が告訴をすることができます。

刑事訴訟法234条
親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。

内閣総理大臣・外国の代表者

名誉に対する罪について、天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣が告訴をすることが出来る場合には、内閣総理大臣が告訴を行います。

また、外国の君主や大統領が告訴をすることができる場合には、その国の代表者が告訴を行います。

刑法232条2項
告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。

 

告訴権者

  • 犯罪により害を被った者
  • 被害者の法定代理人
  • 被害者の配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹
  • 被害者の親族
  • 死者の親族又は子孫
  • 検察官に指定された者
  • 内閣総理大臣・外国の代表者

告発とは

告発とは、犯罪の被害者や被害者に準じる者(告発権者)と犯人を除く、第三者(告発権者)が、捜査機関に対して、犯罪の事実を伝えて処罰を求める意思表示のことをいいます。

刑事訴訟法 第239条

何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない

告発することができない人

被害者や告訴権者は告訴をすべきですので告発をすることはできません。また、犯人は犯罪事実を捜査機関に伝えることは自首になるので告発はできません。

捜査機関は、犯罪の事実を知ったときには自ら捜査等を行うことが必要になるため、告発権者にはなりません。同じように、国税庁監察官は、その捜査の範囲内の事件については、自ら捜査をすべきですので告発を行うことはできません。

たしかに、犯人が告発したら自首だね!

クリミナ

匿名での告発はできない

告発は基本的には誰でも行うことができ、犯罪について第三者の立場で、捜査機関に犯罪事実を伝えて処罰を求めるものです。

犯人の処罰を求める上で、責任の所在などを明確にするためにも、告発者が誰かということを明らかにすることは必要ですので、匿名の密告書や投書で行った場合には、告発として認められません

告発権者とは

告発権者とは、告発を行う権利がある者のことを指しますが、告発は第三者が行うもので、告訴のように細かい制限はありません。

一般の犯罪の場合

告発が訴訟条件になっていない、一般の犯罪では、告訴権者や犯人以外であれば、告発権者に制限はありません。

犯罪があると思えば、個人の自由で告発を行うことができます。また、法人である弁護士会に告発をする機能があることを認めた裁判例もあり、法人や社団、財団も告発をすることができます。

裁判要旨

1 告発とは、犯人または告訴権者以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告してその訴追を求める意思表示である。
2 弁護士会は、人権に関する事件につき弁護士会自身として告発をし、また、事件を裁判所の審判に付することを請求する権能を有する。

昭和36年12月26日 最高裁

告発が訴訟条件の犯罪の場合

告発が訴訟条件になっている罪では、告発を行うことができる者も法律で定められています。

エル

例としては、独占禁止法や公職選挙法があるよ!

・独占禁止法→公正取引委員会の告発

独占禁止法96条1項

第89条から第91条までの罪は、公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。

・公職選挙法→選挙管理委員会の告発

公職選挙法253条1項・2項

第212条第2項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上5年以下の禁錮に処する。
2 前項の罪は、当該選挙管理委員会の告発を待つて論ずる

これらのような罪では、起訴などを行うためには、公正取引委員会や選挙管理委員会などのような、法律で定められた者からの告発が必要になります。

告発権者

  • 通常は、個人の自由で告発を行うことができる
  • 告訴権者や犯人は告発権者にならない
  • 匿名での告発はできない
  • 告発が訴訟条件の場合は、一定の者のみ告発ができる
  • 法人や社団、財団も告発権者になることが可能
つまり、告訴と告発は、申告できる人が違う、ということかな?

クリミナ

エル

そうだね!それが一番大きな違いだよ。

告訴・告発はなぜ分かれているの?

ここまでで説明したように、告訴も告発も、犯罪の事実を捜査機関に伝えて、捜査や処罰を求める機能を持つということは共通しています。

それではなぜ告訴・告発を区別するのでしょうか?

信書開封罪や器物損壊罪などの親告罪では、告訴がされていることが刑事裁判を進めるための条件であり、告訴がない場合には検察官が刑事裁判に持ち込むことはできません。

このように、親告罪では告訴があることが、裁判に進む上で重要な条件の一つとなっていますので、告訴・告発が区別する必要があります。逆に言えば、親告罪以外の通常の犯罪であれば、告訴と告発の区別はあまり重要にならないとも言えます。

エル

強制わいせつ罪、強姦罪(現在は強制性交等罪)は平成29年の刑法改正で親告罪ではなくなったよ。

告訴・告発の違い

  • 告訴・告発→犯罪の事実を捜査機関に伝えて、捜査や処罰を求める
  • 告訴と告発の大きな違いは、申告できる人
  • 告訴権者→被害者など
  • 告発権者→第三者(告訴権者・犯人以外)
  • 親告罪の場合には、告訴が訴訟条件となる
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