デリヘル開業までの流れは?~無店舗型性風俗特殊営業の届出

デリヘル

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)開業までの流れとは?

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)を開業する際には、さまざまな準備や作業を行わなければなりません。

まずは、デリヘル開業までの流れとして、デリヘル開業前や開業後にやるべきことについて簡単に紹介します。

デリヘル開業前にやること

デリヘル開業前にやることは、主に下記の4つになります。

  1. 運営側の人数やメンバーを決める
  2. 店舗の特色や集客方法など詳細を決める
  3. デリヘルを開業するエリアを決める
  4. 事務所、待機所として利用する物件を探す
  5. 行政書士に依頼をしてデリヘルの営業許可を取得する
行政書士 費用デリヘル開業にかかる費用は?~許可申請の報酬と開業費用の相場

他の業界で開業する際と大きく異なってくる点としては、デリヘルを開業する際には無店舗型性風俗特殊営業の届出をする必要があります。「デリヘルの営業許可」という言葉を使いましたが、正式には「許可」ではなく「届出」です。

また、無店舗型性風俗特殊営業の届出をする際には、事務所や待機所として利用する物件の使用承諾書が必要となります。物件を探す際には、デリヘルの事務所として利用することについての使用承諾書をもらうことのできる物件かどうかを確認するようにしましょう。

物件探しの時点で依頼する行政書士を決めておいて、使用承諾書がどのようなものかなど、必要書類を確認しておくといいでしょう。

デリヘル開業後にやること

デリヘル開業後にやることは、主に下記の5つになります。

  1. 働いてくれる女の子の募集をする
  2. 女の子との面接をして採用をする
  3. 写真撮影を行う
  4. ホームページ制作・運営を行う
  5. 雑誌などのメディアに掲載して広告を行う

デリヘルを営業するためには、多くの場合には働く女の子の採用が必要になるでしょう。デリヘルの経営が上手くいくかどうかについては、女の子の質が重要になりますので、ここはとても重要です。

また、ホームページのデザイン、掲載する写真や文字なども、集客をする上でとても重要になります。

ここで注意が必要になる点が、求人広告を出したり、ホームページをオープンしたりすることができるのは、デリヘルの届出が受理されてから10日後になるということです。

そのため、デリヘルを開業するときには、まず警察への届出をスムーズに終わらせなければならないのです。

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の開業には届出が必要

ここまでにも解説したように、デリヘルの開業には警察への届出が必要となっています。

デリヘルの開業が届出制になっている理由は、その他の開業と同じように許可制にしてしまうと、国家が性風俗を許可する形になってしまうのを避けるためです。

そのため、デリヘルは届出が受理されてから開業ができるようになるまでの期間が短いです。通常、風俗営業許可は申請書を提出から55日以内に許可がおりることが目安であるのに対して、デリヘルは受理されてから10日後に営業開始できます。

比較的早く開業して営業開始することができますが、届出後に警察官がやってきて立ち入り検査が実施される可能性もありますので、気を緩めることはできません。

図面や資料などの必要書類は、専門家に依頼をして入念に準備しておくことが大切ですし、当然ですが届出時の書類に虚偽を記載したり、偽装をしてはいけません。

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)開業の必要書類とは?

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の開業は届出制です。管轄の警察署に必要書類を提出します。

必要書類一覧

デリヘル開業届出をする場合の必要書類は、次の通りになります。下の必要書類は個人での開業の場合ですので、法人として開業する場合は、定款と登記簿謄本、役員全員の住民票と身分証明書が必要になりますのでご注意ください。

  • 無店舗型性風俗特殊営業営業開始届
  • 営業の方法についての書類
  • 使用承諾書
  • 住民票(本籍地入りのもの)
  • 事務所、待機所とする建物の登記事項全部証明書
  • 事務所、待機所の面図
  • 事務所、待機所の周辺地図(ゼンリンの許諾シール付)

(注意1)法人で開業する場合は、定款と登記簿謄本、役員全員の住民票が必要になります。

(注意2)管轄の警察署によっては、誓約書や車検証、駐車場の賃貸借契約書など、追加の書類が求められることもあります。書類に不備がないように、管轄の警察署に確認をしてみましょう。

無店舗型性風俗特殊営業届出書とは

無店舗型性風俗特殊営業届出書は、管轄の警察署で受け取ることができます。また、警察署のホームページからもダウンロードすることが可能です。

営業の方法の書類も同じページからダウンロードすることができます。

記入時には、住民票通りに記載するようにしましょう。たとえば、住民票の住所が「3丁目」という表記になっていた場合には、三丁目などと表記するのではなく、住民票通りに「3丁目」と記載しなければなりません。

業務形態の記載等、専門的な知識や経験が必要になる箇所もありますので、書面の作成は行政書士に相談してみることをおすすめします。

使用承諾書とは

使用承諾書とは、事務所が入る施設の使用権限を表す書類です。法務局に出向いて、建物登記事項証明書を取得して、現在の施設の所有者を確認します。施設の所有者に使用承諾書に記名と押印をしてもらいます。

もしも、所有者が複数人いる場合は、すべての人から記名と押印してもらわなければいけません。民法上は管理行為は過半数以上で決定することにはなっていますが、必ず全員の方に記名と押印をしてもらう必要があります。

また、自分が所有者となっている建物内で営業を行う際は、使用承諾書は必要ありません。その場合は、使用承諾書の代わりに建物登記事項証明書を用意します。

登記事項全部証明書とは

登記事項証明書とは、特定の土地や建物についての情報がまとめられたもので、法務省で取得することができます。現在は、登記・供託オンライン申請システムからオンラインで請求することが可能となっています(詳しくは法務省ホームページを参照ください)。

登記事項全部事項証明書は、登記事項証明書のうち、登記記録に記録されている事項の全部が載っているもののことをいいます。他には、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書などがあります。

無店舗型性風俗特殊営業届出をするときに必要となるのは、「全部事項証明書」ですので注意が必要です。

事務所、待機所の面図とは

図面については、風俗営業許可の場合とは異なり、面積計算などは不要でパソコンソフトによるものでも手書きのものでも問題ありません。

また、什器や備品についても記載しておきましょう。事務所と待機所を兼ねる場合には、パーテーションなどで区切っておく必要があります。

色分けが必要になる場合もありますので、申請時にはマーカーなどを持参するといいでしょう。

無店舗型性風俗特殊営業の開業手続きの注意点とは?

これまで、デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の開業手続きの方法を説明してきましたが、注意しなければいけないポイントがあります。ここでは、開業手続きの注意点を紹介していくので確認してみてください。

管理組合や他のテナントと調整が必要

建物の所有者から使用承諾書へ記名と押印をしてもらっても、管理組合や他のテナントと折り合いがつかずに、デリヘル営業対して反対運動のようなものを起こされてしまうこともあります。最悪の場合は、立ち退きの可能性もあるでしょう。

たとえば、分譲マンションの一室で開業する場合に、所有者は認めてくれても、マンションの利用規約違反に反している場合があります。この場合は、届出が受理されても営業を継続することは難しくなってしまうこともあります。

調整というと難しいですが、使用承諾書をもらっているのだから自由にやっていいというわけではなく、他の入居者のことも考えてデリヘルの営業を行うことが重要といえるでしょう。

法人で営業する場合は銀行口座が作成しにくい

法人の銀行口座を作成するときには、定款と登記簿謄本の提出が必要です。しかし、事業目的に「無店舗型性風俗特殊営業」と記載されている場合は、多くの銀行では口座開設を断ってくるでしょう。

そのため、定款の事業目的は工夫した表現をして銀行口座を作成することが多くなります。

ただし、無店舗型性風俗特殊営業の届出時にも定款は必要となりますので、所轄の警察に事業目的についても確認することをおすすめします。

派遣場所を指定することができない

デリヘルは、「無店舗型」性風俗特殊営業ですので、デリヘルの派遣先を店舗側が決めることができません。店舗型が派遣先を決めてしまうと、店舗型性風俗になってしまうためです。

たとえば、マンションの一室を借りて、そこで接客するようなスタイルは認められません。あくまでも、無店舗型性風俗特殊営業は、お客様が指定する場所に女性スタッフを派遣するビジネスモデルです。

注意が必要なのが、ラブホテルやレンタルルームとの提携です。提携先でサービスを行うことにしている場合は、実質店舗型と同様になってしまい、違法営業になってしまいます。

個人経営の場合は、複数店舗の出店の規制がある

警察側の指示により、個人経営でデリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)をする場合は、複数の店舗出店に規制がかけられます。

業績が伸びたので、別の市区町村で店舗を開業しようと考えた場合に「すでに出店をしているので、新規出店はできません」と断られてしまうこともあるのです。

これは、個人経営でしっかりと管理できる分には限度があるということを意味します。そのため、複数店舗の出店を希望する場合は、個人経営から法人に変更する必要が出てきます。

性行為は積極的に抑止する義務がある

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)では、性行為は禁止されています。デリヘルでは性交類似行為のみがサービスとなっているのです。

日本では、売春禁止法という法律が設けられており、この法律に違反した場合は処罰の対象になり、経営者が処罰を受けます。

女性スタッフの中には、お金が欲しいあまりに性行為をしてしまう人もいるでしょう。しかし、女性スタッフに売春禁止法があることや、体を大切にすることをキチンと指導して、女性スタッフに安全に働いてもらう環境づくりが大切です。

開業後に警察から注意を受けないために必要なこと

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の届出を行政書士に依頼して済ませて、開業したからといって安心することはできません。

開業後も法律は遵守しなければならず、「ばれなければ、大丈夫だろう」などという考えで違法行為をしてしまった場合には、厳しい処罰が与えられることになり後悔する結果になってしまいます。

実際に、変更手続きなどを怠ったために、厳しく罰せられた人もいるのです。また、開業後は女の子を採用するだけではなく、女の子の管理もしっかりと行いましょう。

無店舗型性風俗特殊営業の遵守事項

デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)を営業するときには法律などを遵守することが重要になりますので、デリヘルを営業する上で守るべき事項について紹介します。

  • 届出確認書(届出受理後に交付される書面)を事務所に飾り、関係者から確認書の請求があった際は提示すること
  • 女性スタッフを雇用する際は年齢確認をして、確認資料を保管すること
  • 従業員名簿を作成して見える場所におくこと
  • 警察職員の立ち入り検査に適切に対応すること
  • 無店舗型性風俗特殊営業以外の目的の広告宣伝をしないこと
  • 18歳未満の者を従事させないこと
  • 18歳未満の者のサービス利用は断ること
  • 広告を出す際は、18歳未満の人は立ち入り禁止であることを明確に表示すること
  • 条例で広告宣伝が制限されている地域で広告宣伝してはいけない
  • 人の住居にビラ配布はしてはいけない

従業員名簿については、生年月日や採用年月日などの記載事項、身分証明書の種類などが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令で決められています。

自己流で作成した従業員名簿では駄目ですので、内閣府令をしっかりと確認した上で従業員名簿を作成するようにしましょう。