リミナ
エル
電話による告訴・告発は有効?
結論から言うと、電話による告訴・告発は無効と考えられています。
口頭による告訴・告発は刑事訴訟法で認められてはいますが、検察官や警察官などが、直接、告訴・告発をする人の意思を確認した上で、調書を作成することが前提となっています。
また、電話では告訴・告発する人が、被害者本人などであるかどうかなどの確認が十分にできないことも、電話での告訴・告発が無効となる理由とされています。
刑事訴訟法241条
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
2 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。
メールやFAXによる告訴・告発は有効?
メール・FAXによる告訴・告発は、有効になるとする説と、無効になるとする説があります。そのため、実際には受理される可能性はゼロに近く、メールやFAXでの告訴は避けるべきでしょう。
有効とする説
メール・ファックスによる告訴・告発は、告訴状や告発状といった書面による告訴・告発と同様ですので、手続の明確性が害されることはなく、有効になるという説があります。
無効とする説
電話での告訴・告発以上に、告訴人・告発人の意思確認や、本人確認が困難であり無効とする考えがあります。
メール・FAXによる告訴の場合は、刑事訴訟規則60条では公務員等以外が作成者となる書類には署名押印をしなければならないとされており、署名押印がないことを理由として無効とする説もあります。
刑事訴訟規則60条
官吏その他の公務員以外の者が作るべき書類には、年月日を記載して署名押印しなければならない。
このように、メール・FAXによる告訴は必ずしも無効とは言えませんが、受理してもらえない可能性が高いので、直接の提出を回避するのであれば次に説明する、郵送による告訴をおすすめします。
告訴状・告発状の郵送は有効?
告訴状・告発状を郵送することによる告訴・告発は有効とされています。告訴状・告発状という書面を郵送することによる告訴は、告訴状・告発状を警察などに持参するのか郵送するのかの違いでしかないからです。
しかし、告訴状・告発状の郵送を行った場合には受理をする前に、告訴・告発をする人のことを警察署へ呼び出すなど、直接話を聞くことになる場合が多いです。
捜査機関としても、郵便のみでは告訴人・告発人の意思確認や本人確認が困難であるため、告訴人・告発人と直接対面して確認した上で、告訴状・告発状を受理するかどうか判断することになります。
このような捜査機関からの出頭要請を無視した場合には、告訴状・告発状が受理されない可能性が高いでしょう。
告訴・告発の有効性
- 電話→☓(無効)
- メール・FAX→☓(必ずしも無効ではないが受理されない可能性が高い)
- テキスト→◯(有効だが、結局出頭の必要がある)
リミナ
告訴状・告発状は直接提出すべき
ここまでに説明したように、告訴状・告発状を警察官などに全く会わずに受理してもらうことは不可能です。
実際に行われた犯罪行為や被害を捜査機関にしっかりと伝えるためにも、告訴状・告発状を提出する場合には警察署に直接提出するのがベストです。また、自分で告訴状・告発状を作成した場合には、間違いなどもどうしても出てきてしまうと思いますので、対面で修正点なども確認するとよいでしょう。
告訴・告発には受理義務があるとはいえ、警察はなかなか受理をしてくれない場合も多く、このような場合には、弁護士や行政書士に相談をして、告訴状・告発状の作成、警察への同行をお願いすることをおすすめします。
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告訴状・告発状の手数料と報酬・料金の相場は?エル