輸送・運送ドローンの活用事例と課題とは?

運送ドローン
いつかドローンで宅急便が届いたりするのかな?

リミナ

エル

今回は「輸送・運送ドローンの活用事例と課題」について解説するよ!

物流・運送業界でのドローン活用事例は?

Amazonのドローン配達

ドローンを使った配達「Prime Air」をいち早く発表して、物流・運送業界でのドローン活用に対する世間の注目を集めたのがAmazonです。「Prime Air」とは、ドローンを使用して30分以内に荷物を安全に届けるAmazonの配送システムで、「Prime Air」は、安全性と効率を向上させる迅速な宅配サービスを提供することにより、すでに多くの人々に提供しているサービスを強化する大きな可能性を秘めています。(Amazon Prime Air – Amazon.com

Amazonでは日々多くの買い物がされており、多くの注文者の手元に1つ1つ商品を届ける必要があります。倉庫や物流センター間の運送に関しては、かなりの効率化ができますが、上でも述べたように消費者への配送は再配達の必要があるなど、コスト負担が多くなってしまいます。ヤマト運輸の値上げなどによって、Amazonはデリバリープロバイダという形で他の運送会社の利用もしていますが、様々なトラブルもあり利用者にとってマイナスになっています。

このような最後に注文者へ届ける部分「ラストワンマイル」を自社のドローンに任せることで、運送コストの大幅削減や、正確な運送が可能になると考えられます。現在アマゾンでは「ラストワンマイル」の配達に8ドルほどかかっていますが、もしドローンによる配達が実用がされたら20セント~1ドル程で配達が可能になるという試算もあります。

正確な運送や、運送コストの削減はCS(顧客満足度)向上にも繋がり、Amazon側と消費者側の双方にメリットがあると思います。ここからは、Amazonのドローン配達計画について紹介していきます。

2013年「Prime Air」発表

上で説明したような配達の課題解決方法の1つとしてAmazonが計画したのが、ドローンによる配達「Prime Air」でした。

初めて発表があったのは2013年12月で、早ければ2015年スタートとされていました。その時にAmazonが公式チャンネルで公開したのが下の動画です。出荷準備から配達まで全て自動でされています。

発表当時は今ほどドローンが一般的なものではなかったこともあって、Amazonの「Prime Air」の実現には懐疑的な意見も多く、株価上昇やイメージアップのためのPR映像との見方もありました。実際に専門家からも、「Prime Air」をFAA(連邦航空局)が規則で禁じられているものの例として挙げるなどしたこともあり、現実性がないとされていました。

2014年 人材のスカウト・募集

周囲の懐疑的な意見に対して、Amazonは翌年の2014年には、NASAやMicrosoftなどから宇宙航空に関するプロフェッショナルを多くスカウトし、また、「Prime Air」のUnmanned Aircraft Systems(UAS)テクノロジーをテストする技術者を募集するなどもして、多くの人材を集めていました。

このように、本格的な人材スカウト・募集を行い、Amazonが現実的に「Prime Air」プロジェクトを進めることを明確にしました。

2015年11月「Prime Air」の新機体公開

2015年11月には「Prime Air」のための新しい機体が公開されました。このAmazonドローンは大型化し、ハイブリッド型のドローンとなっていました。ハイブリッド型とは、垂直飛行と水平飛行が両方ともできるということで、移動時は飛行機のように飛び、発着陸時には通常のマルチコプタータイプのドローンと同様に飛ぶことができます。最高時速は55mph(約時速88キロメートル)で、15マイル(約24キロメートル)以内の範囲であれば30分でのドローン配達が可能と発表しました。

また、このドローンには、障害物を探知する能力や、着陸地点を認識する能力があります。動画でも登場しますが、「Delivery Zone」と書かれたカタパルトシートを庭に設置することで、ドローンがそこに着陸し荷物を送り届けてくれます。

この様子もAmazon公式チャンネルで、動画が公開されています。

2015年12月 日本のドローン特区への参入

また12月には、日本でドローンなどの無人航空機の飛行を規制する改正航空法(通称、ドローン法)が施行されました。これとほぼ同じタイミングで、日本政府は航空法で定められた高さなどの規制を緩和する国家戦略特区として、千葉市をドローン特区にするとすると発表しました。

これによって、ドローンによる医療用医薬品(処方薬)や生活必需品を宅配できるようになりますが、Amazonがいち早くこの事業への参入を発表しました。

2016年12月「Prime Air」初配達成功

Amazonは2016年イギリスで、スタートは2軒のカスタマーからでしたが、個人へのドローン配送の小規模な検証「プライベートトライアル」を開始したと発表しました。12月7日にはケンブリッジシャー州で初めての配達に成功しました。

初配達の飛行時間は13分で、下のプロモーション動画は、ドローンによる初配達を宣伝するためにAmazonが公開したもので、カスタマーのリチャードさんがタブレットで「Amazon Fire TV Stick」とポップコーンの注文を行い、ドローン専用の配送センターで注文の品が人の手によって箱詰めされ、「Amazon Fire TV Stick」と注文したポップコーンとは箱詰めされ、ドローン下部のボックスの中に格納されます。ドローンはベルトコンベヤーの上を移動したあと、GPS情報をもとに離陸し、リチャードさんの家の庭までの配達に成功しました。

実際の一連の様子は、下に貼っているAmazon公式チャンネルの動画から確認できます。

リチャードさんも到着してすごく満足そうな表情ですね。映像ではありませんでしたが、実用化された際にはPrimeNowのように、到着まで配達中の品物がどこにあるかも確認できるようになると便利ですね。

最初の配達がアメリカではなくイギリスで行われた理由の一つとして、イギリスはアメリカに比べてドローンに対する規制が甘いため、イギリスで先行してテストが行われていたことがあります。

日本でもドローンビジネス発展を目指すためには、安全性とのバランスをとる必要はありますが、積極的に法的な規制緩和を検討する必要があるでしょう。ドローン技術の発展はとても早いため柔軟な対応が求められます。

2016年12月 特許取得

Amazonは、「Airborne fulfillment center utilizing unmanned aerial vehicles for item delivery」というタイトルの特許を取得しました。この特許は「空中のフルフィルメントセンターとドローンを組み合わせて利用者に宅配物を届ける」という特許で、上空4.5万フィート(約14キロメートル)を航行する飛行船の配送センターから、ドローンが指定された場所にいる利用者に配達するものです。

ドローンの自律飛行では通過困難な場所を回避することでドローンの事故のリスクを低下させたり、上空からの落下で配達をするので消費電力の節約を行うことが可能となります。

配達後は飛行船まで戻るのではなく、一度地上の配達センタまで戻り、商品やバッテリー、燃料などを補充した上で小型飛行船によって飛行船の配送センターに戻ります。実現可能性は分かりませんが、空中の配送センターは実現すると面白い発想だと思います。

 

2017年3月 アメリカでの「Prime Air」初配達

アメリカでの初配達は、2017年の3月でした。Amazonが主催する宇宙航空やロボットなどについてのカンファレンス「MARS 2017」で、ドローンの完全自律飛行によってカンファレンスの参加者に日焼け止めを届けることに成功しました。

アメリカでは商用利用に対する規制があり、一般の人の前で行うこのデモは連邦航空局の協力の下で行われました。やはり、実現に向けての一番の障害は法規制になるのかもしれません。

動画では、白いドローンが「MARS 2017」会場へ飛んできて、設置された指定地点の上に、荷物を置いて去っていきました。そして、注文者の男性がドローンが配達した段ボールを手に取り、会場からは拍手が巻き起こりました。

2017年5月 研究施設設置

さらに、以前からプライベートトライアルという形で「Prime Air」による配達の実験が行われていた、イギリスのケンブリッジに研究開発施設を設置しました。

ケンブリッジには、ケンブリッジ・テクノポールと呼ばれるケンブリッジ大学や周辺のハイテク企業群を中核とした地域クラスターがあり、多くのIT企業などが存在し、シリコンバレーと並ぶ世界屈指のサイエンスシティとして知られています。

プライベートトライアルの実施されているケンブリッジに研究施設を設置した点は、イギリスでの「Prime Air」実用化に本腰を入れる決心を見て取ることができそうです。

Amazonがイギリスでのドローン開発に注力する理由は、イギリス政府がドローン配達の実験に協力的だということがあります。イギリスではAmazonなどの民間企業に目視外飛行を許可し、そこで得られたデータからドローンの法規制を効率的なものにする「パスファインダー」プログラムが実施されています。

楽天のドローン配達

楽天もドローンによる配達についての取り組みを進めており、国内企業として、日本国内でのドローン配達の進展を牽引していくことが期待されます。

楽天が取り組む主なドローン事業は、下の図のように、①新たな利便性の提供、②物流困難者の支援、③緊急時のインフラ構築とされています。

2016年3月 楽天がACSLへの出資を発表

楽天は3月に、第三者割当増資の引受と、既存株主である株式会社菊池製作所からの株式取得により、株式会社自律制御システム研究所(ACSL)に出資することを発表しました。

ACSLは、ドローンの研究開発などを手掛ける千葉大学発ベンチャーです。千葉大学野波研究室では1998年からドローン開発・研究を開始し2001年8月に日本で初めて自律制御化に成功し、2013年11月1日に「株式会社自律制御システム研究所」として法人化し、産業利用のできる純国産ドローンでの市場獲得を目指している企業です。

国産のドローン技術で社会に貢献していきます。

私たちが考えるドローンの可能性は無限大です。
お客様のご要望にあったドローンをトータルソリューションとして提案します。

ACSL公式HP

2016年5月 「そら楽」第一弾開始

楽天のドローン配達サービス「そら楽」の第一弾として、千葉県ゴルフ場コース内(キャメルゴルフリゾート 千葉県夷隅郡御宿町上布施3360)でプレイヤーがスマートフォンの専用アプリを使って、軽食や飲み物、ゴルフ用品などを注文すると、ドローンがコース内の受取所まで商品を届けるというサービスを提供しました。

ゴルフ場を第一弾の場所に選んだ理由としては、非人口密集地の私有地で法規制への対策が比較的容易であり、ゴルフプレイヤーをターゲットとすることでユーザーのニーズを特定しやすいという事があるようです。

第一弾のサービス内容は、ゴルフ場コース内でプレイヤーがスマートフォンの専用アプリ(Android版)を使って、ゴルフ用品や軽食、飲み物などを注文すると、専用デポに待機するスタッフが商品を配送用ボックスに梱包し、ドローンの機体に取り付けます。すると、ドローンが自律飛行で飛行し、荷物をコース内の受取所まで商品を届けるサービスを提供します。

「あす楽」で利用されている楽天のドローン「天空」は、楽天が出資したACSLが開発した機体を、楽天が共同で改良・開発をしており、ヘキサコプタータイプで15インチの回転翼を6枚備えているドローンです。機能としては、最大積載量が約2キログラム、飛行可能な距離は約5キロメートルとなっており、GPSと画像認識などを組み合わせることで、指定されたポイントへ安定して配達をすることができます。

「そら楽」第一弾の様子は、楽天公式チャンネルで公開されています。

2017年3月「楽天AirMap」を設立

楽天と、カリフォルニア州にあるAirMap社(公式HP)は、日本国内における商用ドローンの運用者および空域管理者に対し、無人航空機管制システムを提供する合弁会社「楽天AirMap」(公式HP)を設立しました。

楽天AirMapは、自治体や大学といった広大な土地を所有する組織や個人がその空域を管理するためのシステム「空域管理ダッシュボード」や、飛行可能エリアの確認や飛行申請、天候の確認など、ドローンを飛行させるために必要な情報をワンストップで入手できる「ドローン操縦者向けアプリAirMap」を提供しています。

「空域管理ダッシュボード」や「ドローン操縦者向けアプリAirMap」の主な機能などは、下で紹介している公式動画で紹介されています。

2017年10月 福島県でのドローン配送サービス開始

楽天は、ローソンと協業し、2017年10月31日より「ローソン南相馬小高店」を拠点に、週1回限定ですが、注文された商品を指定の受取場所へ、楽天のドローンが商品を配達するというものです。

福島県南相馬市小高区は、東京電力福島第一原発事故の影響による避難指示区域の指定が、2016年7月に解除されました。避難を余儀なくされていた住民の帰還が進み、町としての活気を取り戻し始めているものの、日用品や食品など買い物環境の向上は優先すべき課題となっています。

そのような状況で、「ローソン南相馬小高店」は、2016年10月にオープンし、避難指示区域の指定解除以降小高区内で最初に営業を再開したコンビニエンスストアとなっています。被災者への配達サービスの実施は、将来の「物流困難者の支援」「緊急時のインフラ構築」という面で価値があることだと思います。

千葉市での実証実験

国家戦略特区に選ばれた千葉市では「ドローンによる宅配サービス・セキュリティ」に関するプロジェクトを進めており、実際にサービスを事業化するために航空法の規制を緩和するなどして、ドローンを活用した様々な宅配サービス等をできるような法整備を進めるため、様々なテストが行われています。

千葉市には、東京圏国家戦略特別区域会議の下に「千葉市ドローン宅配等分科会」が設置されており、千葉市、内閣府に加え、イオンリテール株式会社や楽天株式会社、NTTドコモ株式会社など民間企業も加わって組織されており、行政と民間企業が協力してドローン宅配サービスの実証実験が行われています。

また、実証実験の具体的プロジェクトを実施するとともに、実証実験に係る技術的課題を抽出し分科会に報告することを目的として、「千葉市ドローン宅配等分科会」の下に、民間事業者を中心とした「技術検討会」が設置されています。

2016年4月の実証実験

千葉市で行われた4月11日の実証実験では、都市部初となる2つのドローンによる配達が行われました。

一つはイオンモール幕張新都心の屋上(高さ23.4メートル)から、約150メートル離れた豊砂公園へワインボトル(720ミリリットル)を届けるというものでした。利用されたのは六枚羽の黒いドローンで、AEONのロゴの入ったカゴに赤ワインのボトルをいれて屋上の駐車場から、下の公園まで無事に届けることができました。

実証実験の様子は、下の千葉市公式youtubeで確認することができます。

もう一つは、高さ31.2メートルの高層マンション「ミラマール」の屋上へ、約120メートル離れた公園から市販薬を届けるというのでした。イオンモールでの実証実験と同様のドローンが用いられ、これも無事に配達に成功しました。

簡単なミッションとの意見もありますが、こうした実証実験の積み重ねによって、法整備なども含めてドローンの早期実用化の実現に近づいていくと思われます。

2016年11月の実証実験

11月の実証実験は、アプリによる商品注文後、商品をドローンに積み、稲毛海浜公園のいなげの浜から海上を通るルートを約700メートル飛行して荷物を配達するというものでした。

この実証実験は、千葉市、楽天株式会社、株式会社NTTドコモ、及び株式会社自律制御システム研究所が共同で、楽天のドローン「天空」を利用して行いました。将来的なドローンを活用した長距離配送を見据えたもので、海上飛行が可能かどうかや、スマートフォンアプリを利用した注文がドローンを用いた配送システムへ正常に反映されること、そして携帯電話のLTEネットワークによる遠隔制御が安定的に行えることや、墜落時の落下速度を抑えるためのパラシュートの動作を確認しました。

楽天の公式youtubeで実証実験での飛行を確認できます。

ドイツ DHL社

DHL社はドイツの大手運送会社で、主に航空機を利用した国際宅配便サービスを提供しており、早い時期からドローンによる配達に取り組んでいる企業です。(公式HP

2014年には北海沖にある人口2000人のユイスト島への医薬品の配達テストを行い、2016年には標高1200メートルの山岳地帯で100回以上の配達に成功しています。従来の交通手段では配達困難な地域へのドローン配達に力を入れているようです。

スイス Matternet社

Matternet社は無人物流ネットワーク構築を主な事業としたアメリカの会社です。

Make access to goods as frictionless and universal as access to information.

Our products enable organizations around the world to build and operate drone logistics networks for transporting goods on demand, through the air, at a fraction of the time, cost and energy of any other transportation method used today.

Our Mission-Matternet 公式HP

医療関連の荷物を車両で運搬すると、渋滞などで緊急の検査に間に合わないこともあり、人命にかかわりますので、2017年3月にスイス郵便とMatternet社は共同で、南スイスの都市ルガーノにある2つの病院間のドローン配達をテストしました。

2017年4月にはスイス連邦民間航空局からルガーノの上空飛行の認可を得ました。そして2017年10月には、ドローンによる医療器具や輸血用の血液などの輸送が本格的に実用化されました。

ドローンドローンとは? ~ドローンの定義・歴史・特徴

物流・運送業界の現状とは?

ここまでに紹介したように、ドローンの実用化は物流・運送業界で進められています。では、ドローンによる運送はなぜ注目されているのでしょうか?

私たちが日々の生活で使っている衣料品や食品、医薬品、雑貨、家電などの生活必需品や、その他様々な製品は製造後、運送業者などによって企業や個人に送られたり、倉庫などに送られるなどしています。また、近年のECサイトの台頭もあり、運送業界はより生活に密着した産業となっています。

まずは、そんな運送業界の市場規模や、課題について解説します。

物流・運送業界の市場規模

日本の運送業界の市場規模は、約22兆円となっています。海上運送や航空運送を除いて陸上運送のみに絞ると、約15兆円となります。

下の表では、国土交通省の統計による物流業界の営業収入をまとめています。

国土交通省HPより抜粋
  営業収入
トラック運送業者 14兆3685億
 内航海運業 8998億円
 外航海運業 4兆3337億円
 港湾運送業 884億円
 外航利用運送事業 3185億円
 JR貨物 1312億円
 鉄道利用運送事業 2529億円
 航空貨物運送事業 2684億円
 航空利用運送事業 5564億円
合計21兆2178億円

トラックと船による物流が営業収入の多くを占めていることがわかります。船による物流は、海外との取引が主になっていますので、国内の物流に関してはトラック運送が大半だということになります。

物流・運送業界の課題

日本の物流・運送業界の課題にはどのようなものがあるでしょうか?

競争過多

トラック運送業は、1990年以降の規制緩和や価格の自由化により、多くの業者が参入してきました。運送業界はサービス内容等での他社との差別化が難しく、激しい価格競争がされることとなり、低価格化が進められてきました。しかし、トラック運送業の原価は、人件費と燃料費で約70%を占めており、コストダウンをするには人件費の削減をせざるを得ない状況になってしまっています。

また、Amazonや楽天などのECサイトも運送業への参入を予定しており、さらに競争が激化する可能性もあります。

労働力不足

かつてはトラックドライバーは稼げる職業の1つでしたが、人件費の削減が進んだこともあって給料は低下し、安い給料で過酷なドライバーに就こうと考える人も減少してしまいました。そのため、増え続ける荷物に対して、求人倍率が高くなっておりドライバー数の減少が進んでしまっています。

さらには、ドライバーの15%が60歳以上になっているなど、ドライバー数の減少にともない高齢化も進んでおり、労働力不足は深刻な課題となっています。

再配達の負担

再配達の問題は度々ニュース等でも取り上げられるようになりました。日本の運送業者は海外の運送業者と比べてサービスが手厚く、初回の訪問で不在であれば再配達をしてくれますが、これが運送業者にとって負担となっています。

激しい価格競争や労働力不足が問題となっている中で、Amazonや楽天などのネットショッピングでの買い物が増えたことで、荷物の小口化が進むと同時に、再配達の件数なども増え、ドライバーへの負担は増しています。IoTなどを導入して物流センター等での省力化をしたり、配送ルートの最適化を行うなどの対策はしていますが、労働力確保も含めて課題となっています。

2014年の国土交通省の調査によると、宅配便の初回で配達が完了したのは80.4%で、20%程は再配達になってしまっています。1つの再配達にかかる作業時間は、合計で0.22時間とされており、時給1000円で計算をすると、余分に220円のコストがかかってしまうことになります。運送業者にとっては、送料に対して大きなコスト負担になってしまいます。

これに対して、ECサイトや運送業者では、コンビニなどでの商品受け取りを可能にしたり、宅配ボックスの設置を推奨したり、駅などに宅配受取ロッカーを設置するなどの工夫をしていますが、再配達は宅配業界にとって大きな課題となっています。

ちゃんと受け取るようにしないとね!

リミナ

交通渋滞

荷物の増加によってトラックの渋滞も課題となっています。

たとえば、東京港コンテナふ頭の外貿コンテナでは、貨物取扱個数は年々増加している上に、トラック事業者は貨物を午前中に納品することが多く、その前日の夕方にコンテナへトラックが集中し、渋滞発生の原因となっています。

離島への配達

日本には多くの離島があり、国土交通省によると、有人離島だけでも418島あるとされています。

これらの離島への運送は数量が少ないこともあり、運送の効率化は困難であるためコストが多くかかってしまう、天候によって運送ができなくなる状況も発生しやすいという事も、運送業界の課題として存在しています。

運送ドローン実用化に必要な機能とは?

通常市販されているドローンは空撮用のものがほとんどであり、運送用に使えるドローンはほとんどありません。ここでは運送用ドローンに必要な機能をまとめます。

飛行時間

現在市販されているドローンの飛行時間は15分から30分程度で、DJIの「Phantom 4 Pro」で30分、「Mavic Air」で21分の飛行時間となっています。しかし、運送用と考えるとこれでは足りない場面も多いと思います。もちろん配送する距離によって必要な飛行時間は変わります。

たとえば、「Prime Air」であれば30分以内の配達ということですので、単純に考えると往復60分以上の飛行時間が必要となります。

運用スキームに応じた飛行時間を設定し、飛行時間を延ばす必要がある場合には、バッテリー容量を増加させるか、ガソリンで動くエンジンを搭載する等のカスタマイズが必要になります。

積載重量

必要な積載重量は運搬する品物の種類にもよりますが、なるべく1回の飛行でまとめて配達した方が効率もよくなりますので、ドローンの運送をするためには、ある程度の積載重量が求められます。

積載重量は多ければ多いほどいいのですが、飛行時間の確保のためにはバッテリーの重量が大きくなりますので、荷物とバッテリーの重量のバランスもとる必要があります。

耐風性能・防水性能

ドローン配送を実用化するためには、多少の悪天候であれば問題なく配達を行うことができるようにしておく必要があります。

東京、名古屋、大阪、福岡などの都市での平均風速は毎秒3メートル程度ですが、気象庁でも風速の用語として、毎秒10メートル以上の風で「やや強い風」としており、毎秒風速10メートル程の風であれば日常的な風の範囲となっています。

市販されているドローンの耐風性能は毎秒5メートル程の機種がほとんどですので、毎秒風速10メートル程の風であれば配達ができるような、通常市販されているドローンよりも高い防風性能を持った機体が必要となってきます。

また、東京、名古屋、大阪、福岡などでも1年のうち100日ほどは雨が降りますので、安定して配達をするためには雨の中でも配達を行える防水性能が求められます。防水機能も市販のドローンで付いている機種はほとんどありません。

安全性

ドローンの配達にあたっては安全な飛行が最も大切ですので、自動帰還機能やフェイルセーフ機能、障害物回避機能など、安全機能や安全に運用できるシステムが必要になります。

しかし、安全な飛行に注意を払っていても、鳥との衝突など予期せぬ事態によって墜落してしまう可能性はあります。一般家庭への配達などであれば、どうしても住宅地の上空を飛行する必要が出てきますので、コントロールを失ったときにはパラシュートのような安全対策を用意しておくことも必要となってきます。

また、国土交通省では、ドローンの安全な自動離着陸の研究開発のために、民間企業の有識者や行政関係者によって組織される「物流用ドローンポート連絡会」を設置しています。

ドローンの遠隔運行システム

ドローンによる運送を実用化するには確実な配達が必要で、ドローンの配達状況を確認したり、ドローンへの荷物掲載、トラブル時の対応など、ある程度、遠隔で操作などを行うことが可能なシステムが必要となります。

全て自動化しなければならないわけではないので、どの部分を人の手で行い、どの部分を自動化するかなどを、配送する品物の種類や数量など様々な事項を加味して、運行システムを構築していかなければなりません。

運送ドローンに必要な機能

  • 長時間の飛行が可能
  • 十分な積載重量がある
  • 耐風性能・防水性能
  • 安全対策がとられている

運送ドローン実用化の課題とは?

現在様々な実証実験が行われていますが、運送ドローン実用化までには、どのような課題があるのでしょうか?

技術面

ドローン宅配に必要な機体本体の性能は、現在の技術でも十分実現可能です。また、ドローンの遠隔運行システムについても、決まった場所間の運送ではありますが、実際にMatternet社がスイスで実用化しているように技術的には構築可能です。

もちろん向上の余地はまだまだありますが、技術面においてはドローンによる安全で確実な運送を実用化するための一定のレベルまで達していると言えます。

盗難やハッキング

ドローンの着陸などを狙って、ドローンへのいたずらや盗難がされてしまう可能性もありますので、こうした盗難などに対する対策も必要となってきます。

カスペルスキーの公式youtubeで紹介されているのですが、ドローンは1秒未満でハッキング可能なようです。これは高額なドローンでも同様とのことで、商用利用しているドローンがハッキングされ、コントロール不能になってしまうと大問題です。

商用利用するに当たっては、ソフト面とハード面の両面でドローンのセキュリティの強化が必要になります。

社会的信用

2015年国土交通省の調査によると、ドローンによる宅配サービスが開始された場合に、利用したい人と、利用したくない人は、ほとんど同じ割合となっています。やはりまだドローンによる配達は、不安を抱く人も多く、すぐに受け入れられない可能性が高いかもしれません。

実証実験などを安全に繰り返すことで、安全性に対する信頼を高めていき、悪質な業者などが出現しないような法整備をしていく必要があるでしょう。

地域で無人航空機による宅配サービスが開始された場合の利用意向について、利用してみてもよいとする回答が最も多く 31%となっているが、肯定的な意向の「利用してみたい・利用してみてもよい」、「どちらともいえない」、否定的な意向の「できれば利用したくない・利用したくない」に分けると、30~40%のほぼ同じ割合となっている。

ー「平成27年度物流における無人航空機の活用に係る調査実施等業務報告書」 国土交通省総合政策局物流政策課

 

事業の受け入れ

ドローン事業を開始するには自治体や住民の協力も必要になってきます。2015年国土交通省の調査によると、自治体に関しては、ドローン事業者の支援に積極的な自治体が16%で、「どちらともいえない」が77%になっています。自治体の協力は十分得られる可能性があるでしょう。

また、同じく2015年国土交通省の調査によると、住民のドローンによる事業の受け入れは、肯定的な意向が約60%で、安全面での対策や保障をしっかりと講じた上で、住民への説明があれば受け入れられやすい状況と言えます。

・事業者へのサポートについては、「十分に考えられる」と「考えられる」の合計で 16%の市
町村などが、サポートすると回答している。

・無人航空機による事業の受入れ意向は、肯定的な意向が約 60%

ー「平成27年度物流における無人航空機の活用に係る調査実施等業務報告書」 国土交通省総合政策局物流政策課

事業としての採算性

昨年10月に愛媛県今治市で離島を想定したドローンによる配達実験がありましたが、離島間での配送実験を検討していた九州のある自治体は「現状では船の方が輸送量が多く、価格も安いのでドローンのメリットを感じられない」と、結論を保留しているようです。

これはあくまで現状での話ですし、ビジネスモデルによっては十分採算がとれる可能性もありますが、現状でドローンを採用するメリットがあるのは緊急性のある物の運送と言えそうです。ドローン開発が進み基本性能が向上するにつれて、この問題は解決に向かうと思われます。

法規制

やはり、ここが一番大きな課題になるでしょう。ドローンによる運送業を開始するには、航空法などの法規制をクリアする必要があります。

航空法は、2015年12月より無人航空機を規制対象とし、空港等の周辺(A)、150メートル以上の上空(B)、人口集中地区の上空(C)、の3つのエリアのような航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域や、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域において、無人航空機を飛行させる場合には、あらかじめ、地方航空局長の許可を受ける必要があります。

また、それ以外の私有地内等であっても、自動操縦や目視範囲外での飛行などを行う場合には国土交通省の承認を得なければならないと規定されています。

運送業でドローンを用いる場合、少なくとも目視範囲外での飛行が必要となるので、飛行する場所を問わず、条件を変えての実験の度に申請が必要となったり、ドローンによる運送業を開始するに当たっても法規制が障害になってきます。

最近では、政府や自治体も協力して実証実験などを行うなど、ドローンビジネスに積極的に協力する姿勢を見せており、政府・自治体と民間企業の協力によって、今後ドローンビジネスについての法整備も進んでいく見通しです。

法整備が一番の課題なんだね!

リミナ

まとめ

  • 物流・運送業界の課題→①競争過多による価格競争 ②ドライバーの減少・高齢化 ③再配達コスト ④交通渋滞 ⑤離島への配達コスト
  • 物流・運送業界でのドローンの活用例→千葉県での実証実験や、Amazonや楽天などの国内外の企業によるテストや実用化が行われています。
  • 運送ドローン実用化に必要な機能→①長時間の飛行 ②十分な積載重量 ③耐風性能 ④防水性能 ⑤安全対策 ⑥ドローンの遠隔運行システム
  • 運送ドローン実用化の課題→①盗難やハッキング ②利用者の社会的信用 ③住民などの事業の受け入れ ④事業としての採算性 ⑤法整備