ドローンとは? ~ドローンの定義・歴史・特徴

ドローン
ドローンってよく聞くけど何なんだろう?

リミナ

エル

今回は「ドローンの定義と活用事例」について説明するよ!

※ドローンという言葉は広く無人航空機全般を指す言葉ではありますが、ここでは一般的に用いられている意味での「ドローン」について解説しています。

ドローンの歴史は?

ドローンとは、簡単に言うと「無人航空機」のことですが、その歴史はどのようなものだったかを簡単に見ていきます。

初期の無人航空機

航空機というと有人の飛行機のイメージが強いですが、1903年にライト兄弟が世界で初めて有人動力飛行に成功する前から、無人航空機は作成されていました。

ワイヤーなどの「タネ」があったという説もありますが、紀元前425年ギリシャの哲学者アルキダスが「鳩」と名付けられた機械仕掛けの鳥を作り200メートルの飛行に成功したという話もあります。

1896年にラングレーの開発した「エアロドローム」と名付けられた無人航空機が約1.5キロメートルの飛行に成功するなど、昔から無人航空機の開発はされていました。

ドローンの由来

ドローンはなぜ「ドローン」と呼ばれるようになったのでしょうか。英語の「drone」の意味を調べてみると、[名]雄バチとなっています。では、なぜ雄バチを意味するドローンが無人航空機のことを指すようになったのでしょうか。

1935年イギリス海軍が新たに開発した無人標的航空機DH82Bが導入され、当時、無線標的航空機の開発を積極的に進めていたイギリス海軍ではこの無人標的機も数多く導入されていたようです。

この無人標的航空機は通称QueenBee(女王蜂)と呼ばれ、これをオマージュして雄バチを表す「ドローン」が無人航空機を指す言葉として使われだしたという説が有力です。

軍事用ドローン

プレデター(RQ-1)は、1980年代に開発が開始された軍事用無人航空機で、TVカメラや、誘導システム、各種センサーを搭載した機体で、当初は監視目的の無人偵察機として運用されていました。

2001年のアフガニスタン紛争において、ビンラディン抹殺に武装型のプレデターが有効と考えられたことから、武装型プレデターの開発が行われ、対戦車ミサイルヘルファイアの発射実験が行われました。そして、アフガニスタン紛争から始まり、イラク戦争でも用いられるなどして大きく取り上げられたことから、当時のドローンのイメージは「無人の軍事用兵器」というものでした。

有人の軍事用航空機と比較して、人を乗せないことで人命を危険にさらす必要がない上、小型化が可能で偵察に有利である、低コストでの製造も可能などのメリットが多いことから、軍事用ドローンは高い評価を受けており、軍事用ドローンの需要は高まり続けています。

民間用ドローン

今日では、民間用ドローンのイメージが強く、基本的に単にドローンと言った時には、民間用のドローンを指す事が多いです。

日本では、産業用の無人ヘリコプターとして、ヤマハ航空機が農薬散布用に開発をしていましたが、当時軍事用のイメージが強かったドローンという言葉は使われませんでした(現在は農業用としてドローン市場にも進出しています)。

初めて民間用ドローンとして登場したのは、2010年フランスのParrot社が発表した「AR Drone」で、4つの回転翼を搭載し、自動制御機能を持っており、iPhoneから操縦できる機体で、世界に衝撃を与えました。

これをきっかけにして、多くのメーカーがドローンの開発を開始し、現在のように民間用ドローンが広く知られるようになりました。現在は、PhantomやMavicなどのドローンで知られる中国のDJI社が約7割のシェアを占めています。

民家用ドローンで主流となっているのは複数の回転翼を持つ「マルチコプター」で、その中でも「AR Drone」と同じように4つの回転翼を搭載した「クアッドコプター」と呼ばれるタイプが、機能面でもコスト面でも効率が良いため、民間用ドローンの大半がクアッドコプターとなっています。

上の動画(東海オンエアの控え室)のように、現在では一般人がドローンを入手して、家の中で飛ばすこともできるようになっています。

ドローンの定義とは?

ここまでドローンの歴史を見てきましたが、ここからはドローンという言葉が何を指すのかというのを、航空法の定義や、UAVやラジコンヘリとの違いを説明しながら分析していきます。

航空法での定義

航空法では「無人航空機」のことを以下のように定義しています。少し難しく書かれていますが、この定義はドローンと定義というよりも、一般的に無人航空機と言えるもの全てを含んでいるような広い定義で、UAVの定義と同様のものと考えられます。

航空法2条22項
この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。

UAVとドローンの違い

英語で無人航空機の正式名称は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)や、RPAS(Remotely Piloted Aircraft Systems)、UAS(Unmanned Aircraft Systems)などが使われています。ドローンも無人航空機の一つですので、ドローンはUAVの一つとも言えますが、UAVとドローンにはどのような違いがあるのでしょうか。

一般的に、UAVは軍事用ドローンのようなプロペラのないタイプの無人航空機を含んで指すことが多く、ドローンと言ったときには複数の回転翼を持つ「マルチコプター」タイプのものを指すことが多くなります。

また、通常ドローンと言えば、民間用のドローンを指していることが多いでしょう。プロペラがないタイプの無人航空機は、スピードが出る反面、小回りが利きにくいなど民間用としては広まりにくい面がありますが、今でも広範囲の測量等に利用されることもありますし、今後の開発が進むにつれてより一般的になり導入する企業が増えてくる可能性もあります。

ドローンは新しい技術ですので今後変わる可能性もありますが、今の所はドローンとはマルチコプターの民間用無人航空機を指すことが多いと言えるでしょう。

ラジコンヘリとドローンの違い

ドローンが話題になる前から「ラジコンヘリ」はありましたが、従来のラジコンヘリとドローンにはどのような違いがあるのでしょうか。

ラジコンヘリは、人間がラジコンヘリの状況を見ながら、細心の注意を払いながら複雑な手動操作をし続ける必要がありました。

それに対して、ドローンには加速度センサーや電子コンパスといったセンサー、カメラやデータを保存するフラッシュメモリー、GPS、CPUなどが付いており、機種によりますが、高度維持や障害物回避ができたり、写真や動画の撮影を行うことが出来たり、事前にプログラミングした飛行経路に沿った自動航行などが可能です。

そのため、機体が操縦者から遠く離れたり、見えなくなってしまう場所でもドローンの航行が可能で、人間が行けないような場所でも、飛行するだけではない様々な役割をこなすことが可能となります。

つまり、ドローンが従来のラジコンヘリと大きく違う点としては「自律性」と「データ収集能力」の有無ということになります。

ドローンの定義

ここまで、ドローンの歴史から、SUVとの違い、ラジコンヘリとの違いと見てきましたが、ドローンの定義は「複数の回転翼による飛行をする、自律したデータ収集能力を持つ民間用無人航空機」となります。

このサイトでドローンについての法律を紹介する場合には、この定義のドローンを指して使っていきます。ただし、ドローンは新しい技術ですので、この定義もドローンの進歩・普及に伴ってまた変わっていくとは思います。

4つのプロペラがついているドローンのイメージが大きいね

リミナ

ドローンの特徴と活用法とは?

ドローンの特徴

上でも述べましたが、ドローンの大きな特徴として「自律性」と「データ収集能力」があげられます。

ドローンは各種センサーなどによって姿勢制御を行ったり、障害物を回避したりすることが出来るだけではなく、決まったルートの自動航行をすることもできます。また、ドローンはカメラやCPU等も搭載しており、画像データの収集をはじめ、様々な機器を取り付けることで、多種多様なデータ収集・分析をすることもできます。

このような特徴をもつドローンは「空飛ぶスマホ」さらには、「空飛ぶAI」とも言えるでしょう。

ドローンの活用法

このような特徴を持つドローンはどのような分野で活用されていくのでしょうか。

ドローンの活用方法は、今後「空」に関する潜在的なニーズが明らかになるにつれて予想もつかないほど広がると思われますが、ここでは現状での、単に飛ぶだけではないドローンの代表的な活用方法を3つ紹介します。

「運ぶ」

ドローン活用の一つは、「運ぶ」ことです。

代表的なのはAmazonの取り組みで、2013年にドローンによる配達サービスである「Prime Air」の計画を発表し、2016年にはイギリスで初めての配達に成功し、2017年にはアメリカでもカリフォルニア州で行われたMARSカンファレンスで、「Prime Air」による配達に成功しました。

他にも様々な企業が、ドローンによる配達には参入しています。ドミノ・ピザはFlirtey社と協業し、2016年にニュージーランドでピザのドローンによる配達を実際に開始しました。Googleもドローンによる無人配達プロジェクトとして2014年から「Project Wing」を立ち上げています。

また、ヤマハは国際次世代農業EXPOで、YMR-01という農薬散布用ドローンを発表しており、今までヤマハが開発していた農薬散布用無人ヘリコプターと同レベルの農薬散布が可能なドローンです。荷物の配達とは少し違いますが、農薬を「運んで」散布するということで、「運ぶ」活用の1つとして紹介しました。

現状、日本で栽培されているお米のうち約42%で、無人ヘリコプターによる農薬散布がされており、今後ドローンに置き換わり低コスト化すると、さらに多くの農地でドローンによる農薬散布が行われることが予想されます。

運送ドローン輸送・運送ドローンの活用事例と課題とは?

「撮る」

ドローンの活用二つ目は、「撮る」ことです。

下の動画は、DJI社の「Phantom 4 Pro」というドローンを使った空撮映像です(DJI公式youtubeチャンネル)。Phantom4Proは約20万円と比較的高額なドローンではありますが、市販されているドローンでも、これほどまでに綺麗な空撮が出来るようになっています。

現在、一般の人々がドローンを使う際には、ドローンを飛ばして空からの映像を撮る「空撮」の目的が一番多いと思います。携帯やスマートフォンの普及によって様々な場所で撮影がされ、それを共有する文化が根付いていますが、あくまでも人の目から見える角度での撮影がメインでした。ドローンからの映像は見たことがない角度からのもので、スマートフォンとは全く違った写真や動画の撮影をすることができます。今後は、ドローンを使った自撮りが増えてくると思われます。

ドローン空撮は個人だけでなく、サントリー天然水のCMや、レクサスのCMなどで空撮映像が利用されるなど、テレビ番組やCM、映画などのエンターテイメント業界でも多く使われており、すでに一般的な手法の一つとなっています。

さらに、アメリカの不動産業界では、下からは見えない不動産の上からの映像を利用することで、建物の外観だけではなく、周囲の風景なども含めて撮影することができ、臨場感のあるPR映像を作成することができます。実際に効果も出ているようで、ドローン空撮会社への外注や、ドローンのパイロットを雇うなど、ドローンへの投資をする不動産会社が増えているようです。

「データ収集」

また、ドローン空撮の一歩進んだ利用方法としては、「データ収集」があります。

たとえば、マスコミ業界では、紛争やデモなど危険なエリアの映像を空撮したり、ドローンを急行させていち早く事件の映像を手に入れることも可能です。空からの映像は全体を俯瞰することができ、その事件の規模や全体像を分かりやすく表現することができますので、災害時であれば迫りくる危険をわかりやすく映像で報道できます。このように、ドローン空撮は報道でも大きく役立ちます。

測量の分野では、ドローンでの空撮による測量も可能で、広範囲をすばやく測量したり、人が入ることが難しい場所であっても測量をすることができるようになります。レーザー測量ですとコストがかなりかかりますが、写真による測量であれば通常の空撮用ドローンと専用ソフトのみで行うことが可能なため、比較的導入もしやすくなっています。土地家屋調査士や測量士の測量方法も、ドローンがスタンダードになる日が来るかもしれません。

現在、Amazonなどをはじめとして、物流・運送でドローンの活用を狙う多くの企業があります。

その理由の一つとしては、楽天やAmazonなどのEC業界の発展もあって、宅配便の受け取り個数は年々高まっており、ドライバーの減少・高齢化、再配達の負担などは運送業界の課題となっていることがあげられます。今後もEC業界の発展は予想されますので、荷物を早く正確に効率良く届ける技術は、これからの経済発展にとって大きく貢献するでしょう。

ドローンの活用法はいろいろあるんだね!

リミナ