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刑法の機能とは?
刑法は、殺人罪、傷害罪、暴行罪、強制わいせつ罪、詐欺罪など、テレビやネットニュースの報道でも聞くことのある法律だと思います。
刑法では、犯罪の内容と刑罰が定められています。たとえば、傷害罪は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」などのようになっています。
傷害罪と暴行罪の違いとは?刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
それでは、ここから刑法にどのような機能があるかについて解説します。
①一般予防機能
刑罰があることで、一般の人が犯罪を犯すことに対する抑止力になります。たとえば、人を殺してしまった場合は殺人罪となり、死刑や懲役などの重い刑罰を与えられることを知ることで、多くの人が殺人をしないようになります。
このように、一般予防機能とは、刑法があることで一般人が犯罪を行わないように予防する機能のことをいいます。
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
②特別予防機能
特別予防機能とは、犯罪行為をしてしまった犯罪者が、再び犯罪を犯すことを予防する機能のことをいいます。
たとえば、人からお金をだまし取った場合には詐欺罪となり、10年以下の懲役となります。詐欺行為をして何年間も刑務所に入ることになると、詐欺をしたことを反省し、今後は詐欺などの犯罪行為はしないようにするでしょう。
このように犯罪者の再犯を予防する機能が、特別予防機能です。
刑にはどのような種類がある?刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
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③法益保護機能
法益保護機能とは、私たちの生命・身体・財産などの社会生活上の利益(法律用語では法益といいます)を保護する機能です。
ここまでに紹介した、一般予防機能と特別予防機能の効果によって、犯罪を予防することで犯罪の被害者となる可能性は低くなります。
これによって、私たちの法益が守られることになります。刑法について考えるときには、それぞれの条文がどのような法益を保護しているか考えることも重要です。
④自由保障機能
もし、どのような行動が犯罪になるか分からければ、私たちは安心して行動することはできません。刑法などの法律で、犯罪となる行為が定められていることで、自由な行動をすることができます。
このように、犯罪行為以外の自由な行動を保証する機能のことを、自由保障機能といいます。
刑法の機能
- 一般予防機能
- 特別予防機能
- 法益保護機能
- 自由保障機能
罪刑法定主義とは?
罪刑法定主義とは、犯罪と刑罰が法律によってあらかじめ定められていなければ、刑罰を受けることはないという考え方で、日本ではこの罪刑法定主義という考え方が採用されています。
しかし、罪刑法定主義は法律上で定められているものではありません。では、罪刑法定主義の根拠はどのようなものなのでしょうか?
自由保障機能のため
刑法の機能として、自由保障機能というものがありました。もしも、犯罪行為が法律で定められていなければ、自由保障機能は有効に機能しません。
たとえば、ケーキ屋さんを経営していたして、突然警察官がやってきて「今日から糖分が多い商品を売るのは犯罪だ!逮捕!」などとなるとしたら、自由に商売をすることはできません。
このように、自由な行動をした後に、突然それが犯罪行為となり罰されるとなると、刑罰をおそれて自由に行動することはできないでしょう。
国民が萎縮して自由な行動をとれなくなってしまうことがないようにするために、罪刑法定主義が採用されています。
民主主義のため
罪刑法定主義では、犯罪と刑罰が「法律」で定められるとされています。
その法律は、国民が選んだ国会議員によって構成される、国民の代表機関である国会によってつくられます。そのため、国民自身が犯罪や刑罰を決めるということになります。
このように、国民がどのような行為をしたら犯罪となり、どのような刑罰を下されるか、ということを国民自身で決めるという民主主義を成立させるために、罪刑法定主義という考え方が採用されています。
憲法41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。憲法43条
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
罪刑法定主義
- 罪刑法定主義→犯罪と刑罰が法律によってあらかじめ定められていなければ、刑罰を受けることはないという考え方
- 根拠→自由主義と民主主義のため
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